補足記事

コンパイルと実行

Javaのコードを書いてから、プログラムが動くまでには何が行われているのでしょうか。短いプログラムを自分でコンパイルして実行し、ソースファイルとクラスファイルの違いを確かめてみましょう。

 本編ではIntelliJ IDEAの実行ボタンを使っていますが、ここではコマンドを入力して同じことをやってみます。普段はIDEに任せている作業を、一つずつ確かめるための補足記事です。

ソースファイル(プログラム)を作る

 さっそく簡単なプログラムを書いて動かしてみます。まずは、作業用にjava-practiceというフォルダを好きな場所に作ってください。

 次にテキストエディタで、以下のプログラムを書きます。Javaのソースコードは普通のテキストなので、メモ帳のようなエディタでも書けます。Macのテキストエディットを使う場合は、標準テキスト形式にしてください。

Test.java

public class Test {
    public static void main(String[] args) {
        System.out.println("hello");
    }
}

 このプログラムは、helloという文字を表示します。コードの意味がまだ分からなくても、今は大丈夫です。まずは動かしてみましょう。

 Javaでは大文字と小文字を区別します。Test、String、Systemの頭文字は大文字です。行末のセミコロンや、カッコの種類、文字列を囲む半角のダブルクォーテーションにも気を付けてください。

 自分で入力してみると、打ち間違いを見つけて直すことも練習になります。字下げは読みやすくするためのものなので、見本のように行頭を揃えておきましょう。

 書けたら、作業用フォルダにTest.javaという名前で保存します。文字コードはUTF-8にしてください。public class Testと書いたので、ファイル名も大文字・小文字を含めてTest.javaに揃えます。

 これでJavaのソースファイルができました。ソースファイルとは、人が書いたプログラムを保存したファイルです。Javaでは拡張子に.javaを使います。

ソースファイルをコンパイルする

 作ったソースファイルを、そのままCPUが読んで動かすわけではありません。まずコンパイルという作業で、別の形式に変換します。

 Javaの場合は、ソースコードをJava仮想マシン(JVM)が実行できるバイトコードなどを含むクラスファイルに変換します。その際に、文法や型の使い方などもチェックされます。

 難しい言葉が出てきましたが、まずは「人が書いたTest.javaから、実行に使うTest.classを作る作業」だと思ってください。

ターミナルを開く

 WindowsならPowerShellやコマンドプロンプト、Macならターミナルを開きます。ここでは、文字でコマンドを入力する画面をまとめて「ターミナル」と呼びます。

 まず次のコマンドを、一行ずつ入力してEnterを押してください。コマンドと引数の間には、半角スペースを入れます。

入力するコマンド
javac -version
java -version

 両方ともバージョン情報が出れば、それぞれのコマンドを使える状態です。この練習では、同じJDKのjavacとjavaを使ってください。

バージョンが表示されない場合

 「コマンドが見つかりません」「認識されていません」「Javaが見つかりません」などと出た場合は、ターミナルがJDKを見つけられていない可能性があります。javaだけ動いてjavacが動かない場合も、次の手順で確認してください。両方とも使えている方は、次の「ソースファイルのあるフォルダへ移動する」に進んで大丈夫です。

 IntelliJ IDEAでJavaを実行できても、別に開いたPowerShellやMacのターミナルで、同じJDKが使えるとは限りません。そこで、JDKの場所を確認し、その中のbinフォルダをコマンドの検索先(PATH)に追加する作業をします。

 今回は、この練習に使うターミナルを開いている間だけ有効な設定にします。OSの設定画面や設定ファイルを編集する必要はありません。

① IntelliJ IDEAでJDKの保存場所を確認する

  1. 第1講で作ったJavaのプロジェクトをIntelliJ IDEAで開きます。
  2. メニューのFile(ファイル)→ Project Structure(プロジェクト構造)を開きます。
  3. Project Settings → Projectで、使用中のSDKの名前を確認します。
  4. Platform Settings → SDKsで、その名前のJDKを選びます。表示されるJDK home path(JDKのホームパス)をコピーしてください。

 このパスが、使用するJDKの保存場所です。表示名は言語設定やバージョンで多少異なる場合があります。SDKが未設定なら、同じ画面のDownload JDKでダウンロードし、プロジェクトのSDKとして選んでから保存場所を確認します。

 確認したフォルダの中にbinフォルダがあり、その中にWindowsならjavac.exeとjava.exe、Macならjavacとjavaがあることを確認してください。MacではJDKのホームパスがContents/Homeで終わることがあります。その場合も、その後ろに/binを付けます。

② Windowsの場合:PowerShellでPATHに追加する

 PowerShellを開いて、次の一行を入力します。引用符の中は、①でコピーしたパスの末尾に\binを付けたものに置き換えてください。以下は保存場所の例なので、そのままコピーするだけでは動きません。

PowerShellで入力する例
$env:Path = "C:\Users\Nobuo\.jdks\jdk-25\bin;" + $env:Path

 例えばホームパスがC:\Java\jdk-25なら、引用符の中はC:\Java\jdk-25\bin;になります。最後のセミコロンも必要です。右側の+ $env:Pathは、これまでの検索先を残すための部分なので、そのまま入力してください。

 この行はPowerShell用です。コマンドプロンプトでは使えません。入力しても通常は何も表示されませんが、それで大丈夫です。

② Macの場合:ターミナルでPATHに追加する

 Macの標準的なzshやbashでは、次の一行を入力します。引用符の中のJDKのホームパスを①で確認した場所に置き換え、その後ろに/bin:$PATHを付けてください。

Macのターミナルで入力する例
export PATH="/Users/Nobuo/Library/Java/JavaVirtualMachines/jdk-25/Contents/Home/bin:$PATH"

 このパスも一例です。自分のユーザー名やJDKのフォルダ名に合わせて置き換えます。末尾の:$PATHは、これまでの検索先を残すための部分なので消さないでください。こちらも通常は何も表示されません。

③ 同じ画面でもう一度確認する

 Windows・Macともに、今設定したターミナルを閉じずに、次の二つをもう一度実行します。

バージョンを確認する
javac -version\njava -version

 両方とも、選んだJDKのバージョンが表示されれば準備完了です。このまま同じ画面で、次のフォルダ移動とコンパイルに進んでください。

 まだ表示されない場合は、コピーしたパスが正しいか、binを付け忘れていないか、引用符が半角の"になっているかを確認しましょう。別のJavaのバージョンが表示される場合は、次のコマンドで呼び出し先を確認できます。

Windows(PowerShell):呼び出し先の確認
Get-Command javac, java | Select-Object Name, Source
Mac:呼び出し先の確認
command -v javac\ncommand -v java

 ①で確認したJDKのbin内を指しているか見てください。今回の設定は、この画面を閉じると引き継がれません。後日また試す時は、新しく開いたターミナルで②を行えば使えます。

ソースファイルのあるフォルダへ移動する

 ターミナルには、現在の作業場所となるフォルダがあります。これをカレントディレクトリと言います。ディレクトリは、ここではフォルダと同じ意味だと思って大丈夫です。

 作業場所を変えるにはcdというコマンドを使います。例えばWindowsのPowerShellで、次の場所にjava-practiceフォルダを作ったなら、こう入力します。

Windows(PowerShell)の入力例
cd "C:\Users\Nobuo\java-practice"

 Macなら、例えば次のような形です。

Macの入力例
cd "/Users/Nobuo/java-practice"

 Nobuoの部分も含め、パスは自分が実際に作ったフォルダの場所に置き換えてください。引用符で囲んでおけば、途中にスペースがあるパスも指定できます。Windowsのコマンドプロンプトでドライブも変える場合は、cd /d "移動先のパス"とします。

 移動できたら、Windowsではdir、Macではlsを入力すると、フォルダ内のファイルを確認できます。Test.javaが見つかれば準備OKです。

javacでコンパイルする

 Javaのソースファイルをコンパイルするには、javacを使います。Test.javaのあるフォルダで、次のコマンドを実行してください。

入力するコマンド
javac -encoding UTF-8 Test.java

 -encoding UTF-8は、ソースファイルをUTF-8として読み込む指定です。エディタで保存した文字コードと揃えています。

 この例では、成功すると通常は何も表示されず、次のコマンドを入力できる状態に戻ります。作業用フォルダを見てみましょう。Test.classというファイルができているはずです。これがクラスファイルです。

 エラーが出た場合は、まず表示された内容と行番号を見て、Test.javaをエディタで開いて確認します。修正して保存したら、同じコンパイルのコマンドをもう一度実行してください。

 「ファイルが見つかりません」と出た場合は、コードの中身より先に、作業場所とファイル名を確認しましょう。Test.java.txtになっていないかもチェックです。

クラスを実行する

 コンパイルできたら、今度はjavaコマンドで実行します。javacの最後のcがなくなりましたね。Test.classのあるフォルダで入力します。

入力するコマンド
java Test
実行結果
hello

 helloと出ましたね! 今回作ったTestクラスは、helloという文字をコンソールに表示するプログラムでした。

 コンパイルの時はTest.javaとファイル名を指定しました。一方、ここでjavaコマンドに渡しているTestは、実行を始めるクラス名です。だから.classは付けません。

 javaコマンドがJVMを起動し、Testクラスのmainメソッドからプログラムが動き始めます。

この例で使う二つのコマンド
作業コマンド結果
コンパイルjavac -encoding UTF-8 Test.javaTest.classができる
実行java Testhelloが表示される

書き換えたら、もう一度コンパイルする

 では、Test.javaのhelloを、好きな文字に変えてみましょう。ここではHello, Java!に変えてみます。

Test.java

public class Test {
    public static void main(String[] args) {
        System.out.println("Hello, Java!");
    }
}

 保存できたら、もう一度コンパイル → 実行です。次の二行を順番に実行します。コンパイルでエラーが出た場合は、先に直してください。

入力するコマンド
javac -encoding UTF-8 Test.java
java Test
実行結果
Hello, Java!

 表示が変わりました。コンパイルし直すと、新しい内容でTest.classが上書きされます。

 ここで大事なのは、Test.javaを保存しただけでは、Test.classは更新されないことです。再コンパイルせずにjava Testを実行すると、以前のクラスファイルが使われるので、表示はhelloのままです。

 本編で使うIDEは、こうしたコンパイルや実行を手助けしてくれます。ボタン一つで動かしている時も、「ソースコードを変換し、その結果を実行する」という流れがあるわけですね。

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